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第4回 美味しいコーヒー入門
5つの項目に渡るコーヒーの美味しさの評価基準

1産地認証

生産者の名や産地が明確な
コーヒーは味に個性が出る

「これまで産地が混ざったコーヒーを飲んでいたため、
どこ産のコーヒーなのか特定できませんでした。
ところが、産地が明確なスペシャルティコーヒーは、
産地の個性がはっきりとカップに表れる可能性が極めて高いのが特徴です」
ソムリエが1杯のワインからワイナリーの名前がわかるように、
コーヒーの香味にも産地ごとに特徴がある。
生産者の名前や豆の種類、精製状況などが明確なのが、スペシャルティコーヒーだ。
それに加え、近年ではサステイナビリティ(持続可能性)が問われるようになってきた。
「コーヒーの品質や農地の環境を今後どのように持続していくか」
という新しい概念が誕生したのだ。
そうした観点から優秀な農園を支援するバードフレンドリーなどの団体が登場した。
団体に認定された農園は技術協力が受けられたり、
支援団体のラベルを付けたコーヒーを販売できる。
生産者の生活の安定を保証し、同時に品質の安定を図ることで、
スペシャルティコーヒーが産まれる可能性が高まる運動でもある。
コーヒーの実は、外側から外皮、果肉、内果皮、銀皮、種子からなる。
外皮や果肉などを除去し、種子、
つまり生豆の状態に加工する工程を「精製」と呼ぶ。
精製方法には、大きく分けてナチュラル、パルプドナチュラル、
セミウォッシュト、ウォッシュトの4つがある。
ナチュラルは実をそのまま天日乾燥させ、脱穀する方法。
未熟豆の混入が多く、乾燥に時間がかかるが、複雑で独特な風味もある。
パルプドナチュラルは果肉除去機で脱穀後、乾かす方法。
未熟豆を選別できるのでナチュラルより品質はよい。
実を水に浸け、ごみなどを除き、果肉除去機で脱穀し、乾燥したのがセミウォッシュト。
ウォッシュトは脱穀までの工程はセミウォッシュトと同じだが、
脱穀後、発酵槽で内果皮についているぬめりを発酵させた後、
洗浄、乾燥させる。きれいな澄んだ香味になるが、
工程が多い分、手を抜くと質が下がる恐れもある。
「精製の悪い豆を修正することは不可能です。
精製は、コーヒーの本質の香味を決定づける重要な工程だといえます」


レインフォレスト・アライアンスレインフォレスト・
アライアンス

レインフォレスト・アライアンス米国に本部がある国際的なNGO。
森林でコーヒーを栽培する農園を支援することで、
森林保護や労働環境の改善をしている団体。

 

グッド・インサイドグッド・
インサイド

グッド・インサイド安全で信頼性の高いコーヒー生産者の認知度を高め、
焙煎業者やメーカーと結びつけることで、
生産者をバックアップしている。

 

バードフレンドリーバード
フレンドリー

バードフレンドリースミソニアン渡り鳥センター
(スミソニアン国立動物園内の機関)が、
日陰で栽培された有機コーヒーのみを認証し、
その普及を図っている。

 

2精製方法

コーヒー豆の質を決定する
もっとも重要な工程

 コーヒーの実は、外側から外皮、果肉、内果皮、銀皮、種子からなる。
外皮や果肉などを除去し、種子、つまり生豆の状態に加工する工程を「精製」と呼ぶ。
精製方法には、
大きく分けてナチュラル、パルプドナチュラル、セミウォッシュト、ウォッシュトの4つがある。
ナチュラルは実をそのまま天日乾燥させ、脱穀する方法。
未熟豆の混入が多く乾燥に時間がかかるが、複雑で独特な風味もある。
パルプドナチュラルは果肉除去機で脱穀後、乾かす方法。
未熟豆を選別できるのでナチュラルより品質はよい。
実を水に浸け、ごみなどを除き、果肉除去機で脱穀し、乾燥したのがセミウォッシュト。
ウォッシュトは脱穀までの工程はセミウォッシュトと同じだが、
脱穀後、発酵槽で内果皮についているぬめりを発酵させた後、洗浄、乾燥させる。
きれいな澄んだ香味になるが、工程が多い分、手を抜くと質が下がる恐れもある。
「精製の悪い豆を修正することは不可能です。
精製は、コーヒーの本質の香味を決定づける重要な工程だといえます」

 
ナチュラル
ブラジル、エチオピア、イエメンなどで
行われている伝統的な精製方法で、
「アンウォッシュト」とも呼ばれている。
写真はエチオピア産。
 
パルプドナチュラル
ブラジルで考案された精製方法。
写真はコスタリカの豆。
近年、コスタリカでもスペシャルティコーヒーのために、
実験的にこの製法が採用されはじめた。
 
セミウォッシュト
ブラジルのセラード地方(ブラジル中央部)で
多く利用されている精製方法。
水の使用料を減らせられることから、
世界中に広まりつつある。
写真はブラジル産。
 
ウォッシュト
水の豊富な産地で多用されている伝統的な方法。
乾燥場の小さいとろこでは、
天日乾燥と乾燥機の併用も見られる。
写真はコロンビア産。
 

3カッピング

テイスティングにより
個々の豆の個性を見極める

 昔から各生産国で格付けが行われてきたが、
近年では消費国が独自に格付けの基準を設けるようになった。
その先駆者が82年設立のアメリカのSCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)だ。
スペシャルティコーヒーという言葉が登場したのは78年。
その後、ブラジルなどにスペシャルティコーヒー協会が発足したが、
スペシャルティコーヒーという概念に国際的な定義があったわけではない。
SCAAが栽培、焙煎、抽出に関する国際的な基準を確立したことで、
スペシャルティコーヒーが徐々に世界に浸透していったのだ。
スペシャルティコーヒーと、その他のコーヒーを分かりやすく区別したのが
コーヒーピラミッド(下のイラスト)だ。
「すべてのコーヒーは、客観的に品質や香味などが評価されます。
生豆の大きさや色なども判断基準になりますが、
初めから品質が高いスペシャルティコーヒーは、
欠点の味を見つけることよりもカッピング(テイスティング)により 、
豆の個性を見極めることに比重をかけます」
コーヒーのよさにはいろいろな要素がある。
カッピングではフレグランス、アロマ、ボディ、酸味、アフターテイストなどを判定する。
その際、ロースト豆、カップ、スプーン、スプーンを洗うグラス、
コーヒーを吐き出すためのボウル、記録用紙を用意する。
10gずつ計量した粉をグラスに入れ、香りを嗅ぐ。
次に湯を150佞鮹蹐、液体の香りを嗅ぐ。
スプーンでコーヒーをすくい、音を立てて強く吸い込み、味と香りを見る。
口に含んだコーヒーはボウルに捨て、1カップごとに記録用紙に寸評を書き込む。
「慣れるまでかなり大変です(笑)。しかし、カッピングができるようになると、
客観的にコーヒーを見分けることができるようになります。
スコア(得点)が高いほうがおいしいコーヒーである可能性が高く、
産地の個性が強いコーヒーは高いスコアがつく。
誰が飲んでも個性が強烈なコーヒーが、
ピラミッドの頂点にあるスペシャルティコーヒーなのです」

これがコーヒーの格付けで区分けしたコーヒーピラミッド。
ピラミッドのトップに君臨するのが、
スペシャルティコーヒーだ。
「日本では、約5%流通しています」と堀口さんはいう。
こんな項目が判別される
評価項目 表現方法
フレグランス グラスに入れた粉が放出する芳香成分を嗅ぎ、香りの強弱などを判
断する。花のような、華やかな、強い香りなどと表現する。
アロマ 粉に湯を注ぎ、全体をかき混ぜ、液体から立ち上る香りを評価する。
きれいな、心地よい、果実のようななどと表現される。
酸味 コーヒーにとってもっとも重要な酸味は、華やかな、明るい、オレ
ンジのような、ピーチのようなといった表現がある。
ボディ 味の種類というよりも、口の中に感じるコクや粘りを評価する。ク
リームのような、豊かな、軽い、きめ細かななどど表現する。
アフターテイスト コーヒーを飲み終わった後、舌全体、あるいは鼻腔から感じる香味。
長く続く、まろやか、フレッシュな、甘い、すぐ消えるなどと表現。

SCAA認定カッピングジャッジである堀口さんは、世界中でカッピングをしている。
生産地は様々でもカッピングの方法はどこの国も同じ。

 

4焙煎

加熱によって豊かな香味を
豆から引き出すのが目的

 コーヒーの生豆を煎ることを「焙煎」、あるいは「ロースト」と呼ぶ。
「コーヒー豆は、生豆の状態では味も香りもありません。
焙煎することで初めて豆からコーヒーの味と香りを引き出すことができます。
焙煎の目的は、そのコーヒー豆が持っている特性を100%引き出すことにあります。
そのためコーヒー豆を外側から芯までしっかりと均一に煎り上げ、
しかも焙煎しすぎないようにすることが肝心です」
スペシャルティコーヒーといえども、焙煎をきちんとやらなければ、
せっかくの持ち味を引き出すことができない。
プロは、豆の特性や使用する焙煎機(ロースター)の特徴を熟知し、
焙煎の進行状況を目で確認しながら微妙に時間や火力を調節して焙煎を行っている。
焙煎は大きく分けると浅煎り、中煎り、深煎りの3段階がある。
これをより細かく分類すると、
ライト、シナモン(共に浅煎り)、ミディアム、ハイ(ここまでが中煎り)、
シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン(ここまでが深煎り)の8タイプがある。
「これまで焙煎による色の違いのみが語られてきましたが、
焙煎の度合いでコーヒーの味が大きく左右されることも忘れてはなりません」
焙煎をはじめると、豆から水分が蒸発し、色づきながら豆がふくらむ。
やがてはぜる音が聞こえてくる。このはぜが終わる頃がミディアムだ。
さらに焙煎を続けると、二度目のはぜる音がしてくる。
この二度目のはぜ音がしたときがシティの入口だ。
ここから深煎りの領域に入り、焙煎の進行が早くなる。
「熱により、豆の成分が化学変化を起し、コーヒーの味にも影響を与えます。
浅煎りの豆には、クエン酸やリンゴ酸など、
コーヒーの酸味を構成する有機酸がたくさん含まれています。
そのため浅煎りの豆は、酸味が強いのが特徴です。
深煎りになると、豆に含まれる糖質のカラメル化が進み、苦味の原因になります」
酸味と苦味に加え、加熱によって生まれる甘味など、
複雑な味の要素をバランスよく整え、より豊かな香りを加えるのが焙煎の目的である。
もちろん、それには技術を要するが、自分で焙煎したコーヒーを嗜む人も多い。
初心者が焙煎を愉しむなら、やや水分が少ないエチオピアなどが 適している
と堀口さんはアドバイスしてくれた。



3

3イタリアン
もっとも深い煎り方。黒っぽさが増してくる。
苦味が強く、刺激的で、舌に残るようになる。
日本では一般的にアイスコーヒーに使われる。

 

3フレンチ
色が黒っぽくなり、表面に少し脂肪分が出てくる。
苦味が強いが、味はイタリアンよりもやわらかい。
カフェ・オ・レやアイスコーヒーに向く。

 

3フルシティ
やや深煎り。濃いチョコレート色になっている。
酸味はほとんど感じられなくなり、
しっかりとしたコクと苦味が出てくるのが特徴。

 

3シティ
深煎りのはじまり。酸味も残るが、
よりコクや苦味が出る。
「最近はハイと共に、このぐらいのローストを
好む人が増えています」と堀口さん。

 

3ハイ
やや深い中煎りで、日本ではポピュラーなロースト。
色は茶色がかなり濃くなる。
酸味が抑えられ、苦味と甘味のバランスが取れている。

 

3ミディアム
中煎りの領域に入った段階。 色は栗色。
酸味に加え、苦味も生まれ、口当たりはやわらかいが、
近年ではあまり好まれなくなった焙煎である。

 

3シナモン
浅煎りで、色はシナモン色。
ライトよりは香りがよい。
酸味が強く残っている。
コーヒーらしい味が少なく、最近では少なくなった焙煎。

 

3ライト
もっとも浅い煎り方。
色は小麦色程度で青臭い。
抽出してもコクや香り、苦味がほとんどなく、飲むには適さない。最近、市場では見られない。


 

3 「うちでは、生豆のキャラクターを最大限に表現するため、独自に改良した直火式の2台の釜を使っています」
と堀口さん。

 

5挽き方

粉にすると表面積が拡大し、
成分の抽出効率が高くなる

 コーヒーは、豆のままでは抽出できない。
そのため「ミル」と呼ばれる機械で豆を粉砕して粉にする。
豆から粉に加工することで表面積を拡大し、成分の抽出効率を高めるのだ。
「挽き方が雑だと、コーヒーの味や香りにも悪影響を与えることはいうまでもありません。
もうひとつ注意してほしいことは、挽きたての粉を使うことです。
これはコーヒーをおいしく飲むための絶対条件です」
 その挽き方には、粗挽き、中挽き、細挽き、極細挽きの4段階がある。
粒の大きさによって、コーヒーの味が変わってくるので、その違いを知っておきたい。
「抽出方法に合わせた豆の挽き方もぜひ覚えてください」
では、まず粒度(粒の大きさ)の違いとその特性から見ていこう。

3粗挽き
粉を多めに使うドリップコーヒー(後述)やパーコレーター、
プレス(後述)向き。表面積が少なく、
成分の抽出に時間がかかり、
その分、苦味が弱く、酸味が強い。

 

3中挽き
ペーパードリップコーヒー、ネルドリップ、
コーヒー・メーカー、サイフォン、プレスなど、
多くの抽出方法に対応できる粒度だ。

 

3細挽き
一部苦味を強調したいドリップコーヒーや、
アイスコーヒー、水出しコーヒーなどに適している。
表面積が多く、酸味は弱いが、苦味を感じられる。

 

3極細挽き
もっとも細かいパウダー状の粒度で、
エスプレッソ・マシーン向き。
家庭用のミルでは挽くことができず、
エスプレッソ専用のミルで挽く。

 

3 レトロなデザインの手動式ミル。
粉を挽く感触が手に伝わり、
立ち上る香しい香りを愉しむことができる。