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第10回 箱根登山鉄道

時代が変わって走る車両が変わっても、夏に行きたい高原鉄道

梅雨の季節、どうしても鉄道撮影に出るのがおっくうになる。雨に濡れてしっとりとした風景も美しいのは分かっているのだが、すっきりとした晴れのようなテンションにはならないのだ。しかし例外が箱根登山鉄道のあじさいだ。空梅雨で乾燥するととたんに元気のなくなるあじさいを撮るために天気予報で雨になるのを確認してから出かけるほどだ。

箱根のあじさいの季節は6月下旬から7月中旬〜下旬まで楽しめる。元々花の時期が長い上に標高差が大きく、沿線のどこかで見ごろを迎えることになる。昼間のあじさいも良いが、なんと言ってもライトアップされる夜の車窓がいい。特に座席指定のあじさい号では、車内の明かりを暗めにして、ライトアップされた風景が浮かび上がって幻想的だ。また途中の宮ノ下駅では列車が長時間停車して線路に降りて記念写真を撮ることも出来る。ただしこの列車は人気が高くて早い時期に指定券が売切れてしまう。天気予報を見て「今日は雨だ」と出かけて乗るわけにはいかないのが残念だ。指定券を買った日に雨が降るように空にお願い。カメラマンとしてはめったにない経験だ。

箱根登山鉄道のもうひとつの名物はズバリ勾配。「箱根の山は天下の剣」とは良く言ったもの。その上ここに鉄道を通そうと考えただけでもすごいことだ。起点の小田原は海に近い標高26メートル、終点の強羅は552メートル、15Kmの路線で500メートル以上登る。勾配も通常の鉄道としては最大の80‰(パーミル)だ。‰は%(パーセント)の一ケタ上で千分の一の単位。鉄道の勾配はパーミルで表されて、80‰は1000メートル進んで80メートル登る勾配のこと。JRなど通常路線での最大勾配は33〜40‰程度、今は廃止になった横川と軽井沢の急勾配も専用の機関車が押し上げて66.6%だった。80‰は通常鉄道としてはもちろん日本一。ぐいぐいと坂を登って行くのを感じられる路線なのだ。

箱根登山鉄道でみられる風景写真

雨の日の箱根登山鉄道、しっとりとしたあじさいの風景がいい

箱根登山鉄道でみられる風景写真

昼間の電車内。車窓にはあじさいの紫が流れる

 
箱根登山鉄道でみられる風景写真

夜の宮ノ下駅。ライトアップされた駅が幻想的に見える

箱根登山鉄道でみられる風景写真

80‰(パーミル)の勾配表、通常鉄道としては日本最大の勾配

 
箱根登山鉄道でみられる風景写真

強羅駅で登山電車を見送る駅員

 

データ

小田急電鉄とJR東海道本線に接続する小田原駅から終点強羅駅までの15.0Kmの路線。ただし小田原駅から箱根湯本駅までは、すべて小田急電鉄の列車で営業されていて、自社の電車は走っておらず箱根湯本駅で箱根登山鉄道の列車に乗り換える。急勾配を走る列車は途中3ヶ所のスイッチバックを繰り返して走って行く。2008年のあじさい電車は6月21日〜7月13日に運転、ライトアップは18時30分〜22時00分まで。

観光のポイント

箱根湯本温泉の写真

箱根湯本温泉の写真

箱根湯本温泉(箱根湯本駅)

塔ノ沢、宮ノ下、強羅と続く箱根温泉郷の玄関口であり、大湧谷や芦ノ湖、仙石原など箱根観光の拠点となる温泉地。駅前には土産店が並び、早川と須雲川にそって宿が並んでいる。歴史は古く、箱根七湯の一つとして江戸時代から湯治場として栄えた。その後も東京の奥座敷として多くの人に親しまれ、1年を通じて賑わっている。周辺には博物館や植物園などもあり、毎年11月3日には箱根大名行列も開催される。

箱根登山鉄道早雲山ケーブルカの写真

箱根登山鉄道早雲山ケーブルカの写真

箱根登山鉄道早雲山ケーブルカー(早雲上駅)

箱根登山鉄道終点の強羅〜箱根ロープウェイが発着する早雲山を結ぶ。標高553mの強羅と標高767mの早雲山間は、約1.2km、所要9分。車輌はスイスから直輸入したもので、緑豊かな箱根によく似合うヨーロピアンカラーだ。途中駅は、公園下、公園上、中強羅、上強羅の4駅。線路の両側は大半がうっそうとした木立なので、景色を楽しむのなら最前か最後尾に立つのがおすすめ。

  • 住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅
  • TEL:0460-82-2117
  • 営業時間:7:40〜19:00  無休
  • 料金:強羅駅〜早雲山駅は片道大人410円、小人210円
  • HP:http://www.hakone-tozan.co.jp/

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