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『「怒りの感情」が“すっ”と消える イラッとしない思考術』(安藤俊介)

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男子食堂別冊「完全保存版 男の極旨! 魚料理」

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『食べても太らない 男の家のみおつまみ』

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古民家の隠れ宿、食事処で寛ぐ

失われゆく日本の「ふるさと」を訪ねる旅 古民家の隠れ宿で寛ぐ

築270年の合掌造りの宿に「こきりこ節」が響き渡る 十右エ門(岐阜県白川村)

十右エ門 写真

かつて白川郷に住む人々の生活の糧となったのは、何と言っても養蚕である。築 270年を越す茅葺きの民宿「十右エ門」も、そうした養蚕農家の一つだった。1960年代に入り、化学繊維の台頭によって養蚕は急激に廃れていくが、その 後に起こった「ディスカバー・ジャパン」ブームは、辺境だった白川郷を観光名所に仕立て上げていく。こうして、養蚕農家から民宿への転向を図る家が増加 し、'95年の世界遺産指定を受け、注目度は一層高まった。
「十右エ門」は、土産物屋が立ち並ぶ白川郷の中心地からやや奥まった、背後に勇壮な山々が迫る場所に位置するため、ひっそりとした茅葺きの宿の風情が満喫できる宿である。

十右エ門 写真

データ

みんしゅく じゅうえもん
岐阜県大野郡白川村萩町1653
TEL:05769-6-1053
料金:1泊2食8000円(税別サ込み)
部屋数:6室
チェックイン15:00・アウト9:30 通年営業

交通アクセス

十右エ門 地図

富山空港から北陸自動車道を金沢方面に進み、砺波JCTから東海北陸自動車道へ。五箇山ICで国道156号を五箇山方面に進み、白川村へ。この間およそ2時間30分。

世界文化遺産の集落に建つ築180年の茅葺の宿で和む 庄七(富山県平村相倉)

庄七 写真

築180年、江戸時代末期に建てられたという宿「庄七」も、かつては養蚕により 暮らしを支えていた。切り妻・平入りの大きな建物で、屋内は3層になっており、玄関や囲炉裏の間など1階部分は昔と変わらぬ状態で維持され、かつて養蚕部 屋として使われていた2階は客室として改装、3階はプライベートな空間として現在は閉鎖されている。
ここでいただけるのは、もちろん五箇山で採れた土地の味。清らかな山の水を使って作られた五箇山豆腐をはじめ、あさつきや山葵の葉、地元では「こごみ」と 呼ばれるくさそてつなど、豊かな自然の中で育まれた山のご馳走を堪能できる。刺し身で出される鯉の洗いは臭みがなく、山葵醤油でいただく。

庄七 写真

データ

しょうしち
富山県東砺波郡平村相倉421
TEL:0763-66-2206
料金:1泊2食8000円?(税別)
駐車場:10台
チェックイン15時・アウト10時

交通アクセス

庄七 地図

車/東海北陸自動車道福光ICから国道304号で約35分
電車/JR城端線城端駅から加越能バス萩町合掌集落行きで約30分、相倉口下車。

心癒される“聖なる地” 御師の宿坊でのひととき 御嶽山荘(東京都青梅市)

御嶽山荘 写真

威風堂々とした茅葺き屋根の御嶽山荘もそんな御師の宿坊の一つ。その門には、注連縄が掛けられ、“聖なる地”を意識させる。
現在の当主・金井国俊さん(62歳)によると、創建は、江戸幕府が開かれて間もない頃。現在の建物は、天明年間(1781?1789)火事で全焼して、再建されたもの。その長い歴史のなかでは、幕末のイギリス公使・パークスのような人物も宿泊したことがあるという。

屋根は、茅と杉皮が交互に葺き重ねられ、“とら葺き”というらしい。屋根全体の葺き替えには、7年の歳月と約3500万円の経費がかかるという。それでも、敢えて昔ながらの茅葺きの建物を残そうとするのは、当宿坊が担ってきた歴史の重みと使命感によるのだろう。

御嶽山荘 写真

データ

みたけさんそう
東京都青梅市御岳123
TEL:0428-78-8474
料金:1泊2食8000円?
チェックイン15時・アウト10時

交通アクセス

御嶽山荘 地図

電車/御岳山ケーブルカー御嶽駅より徒歩約10分(7:50?18:30 約20分間隔 大人片道570円、往復1090円)
車/中央道八王子、411号線経由約1時間で滝本駅、その先の御岳山には徒歩

平家の落人たちが隠れ住んだ恵み豊かな山里に建つ一軒宿 民宿おくがわ(熊本県八代郡泉村)

民宿おくがわ 写真

「昭和30年代までは、このあたりはみんな茅葺きの家でしたよ。一時期壊されましたが、今、またこの茅葺きの地を保存しようと皆で努力しているところです」
16年前に建てられたこの宿は、宮大工の手になる合掌造り。屋根裏に囲炉裏を切り、昔語りの部屋とした。御主人を囲み、かっぽ酒片手に、客は歴史ロマンに思いをはせるのである。
茅葺きのみならず、昔は五家荘一帯に30に近い数のかずらの吊橋が渡されていた。事あれば切って落とし、敵の進入を防ぐ。落人の里ならではの伝統でもあった。現在でも、架け替えられたものがいくつかある。その揺れ心地は、深山幽谷の趣を心ゆくまで堪能させてくれる。
日本三大秘境のひとつに数えられるひなびた山里は、古の豊かな記憶と、山の恵みに彩られた別天地であった。

民宿おくがわ 写真

データ

おくがわ
岐熊本県八代郡泉村大字仁田尾49-23
TEL:0965-67-5011
料金:1泊2食8500円?(税・サ込み)
部屋数:13室
チェックイン16時・アウト10時

交通アクセス

民宿おくがわ 地図

電車/鹿児島本線八代駅から肥薩線に乗換え人吉駅下車、タクシー90分
車/九州自動車道人吉ICより五木村頭地集落を経て90分

吉井川の渓流が奏でるせせらぎが心に染みるふるさとの宿 阿波山清(岡山県阿波村)

阿波山清 写真

標高1000m余りの山々に囲まれた岡山県で最も小さな村・阿波村。岡山県内「ふるさと村」第1号として指定を受けた阿波村大高下には、今なお黒岩高原を背に、茅葺き屋根や水車小屋が点在するのどかで懐かしい風景が残っている。
大高下地区でも、一際目を引く真っ白な漆喰の囲い塀から堂々たる茅葺き屋根をのぞかせているのが、民宿・阿波山清だ。築160年という入母屋造りの山清は、この辺りでは珍しい2階建てとなっている。
茅葺き屋根の母屋へは、昭和56年に建てられたという新館を通って案内された。渡り廊下から入るとそこは囲炉裏の間。この部屋は江戸時代末期のままほぼ変 わらぬ状態が保たれているという。視線を上げると、どっしりとした立派な梁が目に入り、贅を尽くしてこの家が建てられたことをうかがい知ることができる。 囲炉裏の間から「田」の字型に連なる下の間、奥の間へ。奥の間が一段上がる格好になっており、農家といえども格式の高い家であることを示す。宿泊は母屋 か、新館かを予約時に希望すればよい。

阿波山清 写真

データ

あばさんせい
岡山県苫田郡阿波村3165
TEL:0868-46-2132
料金:1泊2食7000円(税別・サ込み)

交通アクセス

阿波山清 地図

電車/JR姫新線津山駅経由、因美線美作河井駅から村営バスで約10分、落合口下車
車/中国自動車道津山ICから国道53号線を鳥取方面へ。津山市野村から県道に入り加茂町経由で約30分

観光客が去った夕闇から始まる大内宿の昔懐かしさを愛しむ 伊勢屋(福島県南会津郡下郷町)

伊勢屋 写真

大内宿といえば江戸時代の情景そのままの茅葺き屋根の宿場町が残っていることで 知られている。旧会津西街道の両側に、馬継場として半農半宿を営んでいた50戸の家が、今も整然と並んでいる。江戸の中期の風情に戻そうと集落の住民が心 を一つにして電柱を無くし、茅葺き屋根を守り、土の道に戻した結果、年間80万人もの観光客が訪れるのだ。
旧街道の中程にある伊勢屋は、わずかな中断時期があるものの、江戸時代から続く宿だ。「昔は富山の薬売りの方たちの定宿だったんです。今でも古い招き看板が残っていますよ」と女将さん。
「ご飯も昔ながらの釜炊き。山菜も裏の山で採れたものですよ」。
朝、雨戸を繰る音で目を覚まし、家の前に流れる水音に聞き入る。静かだ……。
観光客が来るまでに時間がある。集落の端にある六地蔵まで歩き、弁天様への磨り減った石段を息を弾ませて登る。そこから見下ろす大内宿の朝は時を留めてい るかのように美しい。一夜を宿屋で過ごすことで、旧宿場を歩き、土産物を見て回るだけではわからない大内を味わうことができるのだ。

伊勢屋 写真

データ

いせや
福島県南会津郡下郷町大字大内字山本33
TEL:0241-68-2958
料金:1泊2食7000円(税別・サ込み)

交通アクセス

伊勢屋 地図

電車/JR東北新幹線郡山乗換え、盤越西線会津若松乗換え又は東武鬼怒川線経由、会津線湯野上温泉駅下車タクシー15分
車/東北自動車道那須塩原ICから国道400号・国道121号経由

築300年の母屋がいにしえの古道の面影を偲ばせる旅籠 とがの木茶屋(和歌山県中辺路町)

とがの木茶屋 写真

平安時代の中期以降、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)信 仰の道として栄えた熊野古道。山深い峠をいくつも越えてようやくたどり着く古道沿いの宿「とがの木茶屋」は、山歩きに疲れた身体を癒すしばしの休息の場と して、今も熊野詣での人々に親しまれている。ここでの愉しみは、周囲の大らかな自然を目で、舌で満喫できること。なかでも、熊野で栽培された無農薬の番茶 と水でじっくりと米を煮込み、到着に合わせて、いい頃合に仕上げてくれる茶粥はぜひ味わいたい一品だ。
「お着きになるお客様のことを考えながら煮込む茶粥や、囲炉裏で焼く天然の鮎など、いつも変わらない味でお迎えしたい」とは、女将の古まゑさん。囲炉裏端で交わす会話も、愉しみのひとつだ。

とがの木茶屋 写真

データ

とがのきぢゃや
和歌山県西牟婁郡名辺路町野中393
TEL:0739-65-0127
料金:1泊2食8000円?(税別・サ込み)
部屋数:7室
駐車場:10台

交通アクセス

とがの木茶屋 地図

電車/JR紀勢本線・朝来駅からJRバスに乗り継ぎ、一方杉下車、徒歩約3分
車/湯浅御坊道路・御坊ICから国道42号線、311号線経由で約1時間

築100年を数える合掌の宿 合掌民宿わだや(岐阜県大野郡)

合掌民宿わだや 写真

泉鏡花の小説『高野聖』の舞台となった天生峠へ続く国道360号線を車で進むと、村はずれの山間に、合掌造り民家が4軒あらわれる。その1軒が、現役屋根葺き技術師、和田利治さんが営む合掌民宿わだやだ。
「この建物は築100年になりますが、白川郷のなかではまだまだ若造です」
と和田さん。真冬でも清らかな水がこんこんと流れ込む庭の池では、ニジマスが気持ちよさそうに泳ぐ。畳に寝っころがれば、絶え間なく聞こえる水の音。夕暮 れ時には厨房から薄暗い廊下へご飯のほんのりとした甘い香りが漂ってくる。囲炉裏のある居間で食事をとると、和田さんがふいにビデオを映してくれた。白川 郷の春の風物詩である茅葺き屋根の葺き替え風景の映像だった。
「屋根葺き技術師の仕事は大変ですが、楽しいですよ。今では若者たちが守っていこうという気概をもっています」

合掌民宿わだや 写真合掌民宿わだや 写真

データ

がっしょうみんしゅくわだや
岐阜県大野郡白川村萩町1976
TEL:05769-6-1561
料金:1泊2食8400円?
(冬期暖房費300円)
部屋数:5室

交通アクセス

わだや 地図

広大な敷地にわずか11室の寛ぎの宿 たかむろ水光園(岩手県遠野市土淵町)

たかむろ水光園 写真

高清水山を正面に望み、市街を見下ろす高台に、6万2000平米もの敷地をもつ たかむろ水光園。ニジマス釣りのできる池の前にどっしりした佇まいをみせているのが曲り家だ。江戸末期に建てられたもので内部に畳敷きの客室が4室ある。 隣室との仕切りは襖一枚だが、そんな体験もたまにはいいものだ。目を見張るのは囲炉裏部屋や廊下に飾られた自在鉤のコレクション。全て近在の茅葺き民家の ものだったとか。1000本以上はありそうだ。
水光園は水道の浄水場を母体にした市民のための大浴場として造られた。後に曲り家などの古民家が移築され宿泊施設として利用できるようになった。園内には寛政元年建築の貴重な芝居小屋も移築復元されている。

たかむろ水光園 写真

データ

たかむろすいこうえん
岩手県遠野市土淵町柏崎7-175-2
TEL:05769-6-1561
料金:1泊2食9471円
休日:毎月第4月曜(祝祭日の場合は翌日)
駅から要予約で送迎あり

交通アクセス

たかむろ水光園 地図

電車/東北新幹線新花巻駅から釜石線で約1時間の遠野駅下車
車/東北自動車道花巻ICから約1時間

半農半宿の旅籠で江戸情緒に憩う 民宿大黒屋(福島県南会津郡下郷町)

民宿大黒屋 写真

江戸時代の雰囲気に、より深く浸ってみたいという向きには、ぜひ旧宿場町で一泊することをお勧めしたい。「大内宿町並み展示館(本陣跡)」の向かいに建つ「大黒屋」は、築300年超の古民家をそのまま宿舎とする民宿だ。
玄関をくぐり、戸を一枚隔てて囲炉裏のある居間へ。高い天井を走る太い梁や、黒い板戸などに年月の重みと旧情が染みている。囲炉裏では火が焚かれ、立ち上る煙が茅葺き屋根をいぶす。
「こうしないと屋根は長持ちしません。もちろん湯を沸かしたり、魚を焼いたり…と、実用的でもあります」
と語るのはご主人の佐藤寅喜さん。今も半農半宿というスタイルは不変。
「料理に使う野菜は自家製、キノコや山菜も自分で山歩きして採ってきます」

大黒屋 写真

データ

みんしゅく だいこくや
福島県南会津郡下郷町大内
TEL:05769-6-1561
料金:1泊2食7350円
部屋数:6室(20名)

交通アクセス

民宿大黒屋 地図

電車/会津若松駅から会津鉄道会津線で約40分、湯野上温泉で下車後、タクシーで約15分
車/磐越自動車道会津若松ICから国道121号を経由し、湯野上温泉手前で案内表示にしたがって右折。ICから約40km

ぼたん鍋、山菜など美山の旬が旨い宿 とみ家(京都府北桑田郡美山町)

とみ家 写真

北集落には江戸時代末期に建てられたの茅葺き民家をそのまま利用した民宿が2軒 ある。その1軒がこの地で生まれ育った中野俊一さん、秀代さん夫妻が営む「とみ家」だ。北地区が保存地区に指定されたのを機に、空き家となっていた親戚の 家を民宿として利用することにしたという。
「ここは築180年位で、中野家の本家の住まいだったんですが、ずっと空き家になっていて隣に住む私が風を通して管理していたんです。代々受け継いできた家を使う、それが家を守ることになるから」
と中野さん。中野さんは自らの宿を「農家民宿」と表現する。
「寒暖の差が激しい美山で作った野菜は本当においしい。このおいしさを来た人にも食べさせてあげたいと思って野菜を作っているんです」
と話すのは奥様の秀代さん。冬にはぼたん鍋が名物となる。白味噌、赤味噌、そして田舎味噌の3つをブレンドすることで、より味にコクが出る。

とみ家 写真

データ

とみや
京都府北桑田郡美山町北
TEL:0771-77-0513
料金:1泊2食7875?1万5000円
(宿内禁煙)

交通アクセス

とみや 地図

車で京都市内から国道162号線北上で美山町かやぶきの里まで約52km、約1時間半。JRバス高雄・京北線で周山下車。周山より美山町営バスに乗り換え。美山町安掛バス停下車。約2時間10分