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『マシンガン・プリーチャー』 実在の“マシンガン牧師”の仰天人生

[2012年1月30日]

 

 “衝撃の実話”と銘打った映画は幾つもあるが、

まぎれもなくこれは驚くべき物語だ。

主人公サム・チルダースはペンシルベニアの麻薬売人で、

罪を償って出所したかと思えば、すぐさま性懲りもなく

アルコール&ドラッグ浸りの荒んだ日常に舞い戻るチンピラ中年男。

そんなサムが妻の薦めで教会に通うようになり、洗礼を受け、

生まれ変わったかのようにまっとうな人生を歩み始める。

妻子との生活もすっかり安定し、めでたしめでたしだ。

 

 

 

むろんこれでハッピーエンドでは映画のネタにならないため、

ここからチルダースの仰天人生が激しくうねり出す。

自ら故郷に教会を建てて信者に説教する身になった彼は、

ウガンダからやってきた牧師のスピーチに感銘を受け、

アフリカでのボランティア活動に志願。

そしてスーダンの内戦で大勢の子供たちの命が奪われている

理不尽な現実を思い知らされ、現地で孤児院の建設にとりかかる。

さらには武装勢力から子供たちの命を守るため、

自ら銃器を手にして闘いに身を投じていくのだ!

 

 

 

実話ものの企画には、ドラマチックな部分を都合よく強調し、

万人向けの“感動作”に仕立てたものが少なくないが、

この映画はまったくそうではない。アフリカでの孤児支援活動に

前のめりになっていくチルダースは、惜しげもなく私財をなげうち、

妻子との生活は破綻寸前になってしまう。時には一般の富裕層に

恫喝まがいの口調で寄付を求めるなど、あらゆる言動が常軌を逸していく。

 

 

 

またスーダンの人民解放軍と行動を共にするチルダースは、

兵士も尻込みするほどの危険地帯に迷わず乗り込み、

拉致された子供の奪回作戦を繰り広げる。

もはや通常のボランティアの域を完全に超えており、

その凄まじい猪突猛進ぶりはクレイジーですらある。

昨今の紛争をテーマにした映画は、“憎しみの連鎖”を

いかに断ち切るかという視点で語られることが多いが、

チルダースは相手に話し合いなど求めない。

彼はこれしか子供たちを救える手段はないという確信のもと、

暴力に暴力で対抗する道を突き進んでいくのだ。

 

あえて作り手が万人向けの感動作に仕立てなかった本作は、

チルダースの行動がはらむ矛盾やアフリカの悲惨な現実を

ストレートに突きつけてくる。ラスト・シーンに至っても、

紛争はまったく解決しない。

しかし「今なお彼はスーダンで闘い続けている」という

テロップを目の当たりにして、心動かされぬ人はいないだろう。

まさに実話ならではの重みと衝撃性、複雑な問題提起を秘めた一作である。
 

 

 『マシンガン・プリーチャー』

2月4日よりヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほかにて全国にて公開

 

Ilze Kitshoff(C)2011 MGP Productions, LLC. All Rights Reserved.

Phil Bray(C)2011 MGP Productions, LLC. All Rights

 

 

 

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